イーヨーの誕生日プレゼントは割れた風船

 

誕生日のプレゼントに『割れた風船』って、どう思う?ありえないことがあるのが、プーさんの世界です。しかもそれが、何ものにも代えられないような、貴重なプレゼントになるのです。
風船を抱えて、大急ぎでイーヨーのところへ走っていたピグレット。風船が飛んで行かないようにしっかりと抱えて、プーよりも先にプレゼントを渡したかったのですが、あまりに急いでいたので、つまづいて、転んで、風船を割ってしまいます。

 

 

イーヨー
Dear, dear, how unlucky! You ran too fast, I expect. You didn't hurt yourself, Little Piglet?
おやおや、ついてないね!急ぎすぎたんだね。怪我しなかったかい、ピグレット。

ピグレット
No, but I ー I ー oh, Eeyore, I burst the balloon!
してないけど、イーヨー、風船を割ってしまったんだ!

 

とても長い沈黙がありました。

 

イーヨー
My balloon?
ボクの風船?

ピグレット
Yes, Eeyore, here it is. With ーwith many happy returns of the day.
そうなんだ。イーヨー。これがそうだよ。お、お誕生日おめでとう。

 

そして彼は小さな湿気たぼろきれをあげました。

 

イーヨー
Is this it?
これがそれ?

 

ピグレットはうなづきました。

 

イーヨー
My present?
ボクのプレゼント?

 

ピグレットは再びうなづきました。

 

イーヨー
The balloon?
風船?

ピグレット
Yes.
そうだよ。

イーヨー
Thank you, Piglet, you don't mind my asking, but what colour was this balloon when it ー when it was a balloon?
ありがとう、ピグレット。尋ねてもいいかな。何色だった?、これが ・・ まだ風船だったときは。

ピグレット
Red.
赤だよ。

イーヨー
I just wondered. . . .Red, my favourite colour. . . . How big was it?
そうだと思った、赤だ。ボクの好きな色だ。どのくらいの大きさだった?

ピグレット
About as big as me.
ボクと同じくらい。

イーヨー
I just wondered. . . . About as big as Piglet. My fabourite size. Well, well.
思ったとおりだ・・・ピグレットと同じくらい。ボクの大好きな大きさだ。やれやれ。

 

 

この会話はいつも、私にオー・ヘンリーの『賢者の贈り物』を思い起こさせます。お互いに自分の一番大切なものを犠牲にして、相手にプレゼントを買う貧しい若夫婦の物語です。「物質的」なことだけを考えると、なんて愚かな行為でしょう!

でも、「心」のこもった贈り物というのは、時には『割れた風船』のような形をしているものではないでしょうか。

 

 

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