Ch.7-5 ボクはルーじゃない、ピグレットだ

第7章 カンガとベイビー・ルーのお話(5)

前回のあらすじ
カンガとルーは森の砂地にいました。プーは何とかカンガの注意をそらそうと「歌」を披露しますが、カンガはあまり関心がありません。向こうに見えるのは「鳥」だろうかと、注意を遠くに向けようと必死です。

 

(5)

And then at last Kanga did turn her head to look.
そしてついに、カンガは見ようと頭を向けました

And the moment that her head was turned, Rabbit said in a loud voice “In you go, Roo!” and in jumped Piglet into Kanga's pocket, and off scampered Rabbit, with Roo in his paws, as fast as he could.
彼女が頭を向けた瞬間、ラビットは大声で「さあ、入れ、ルー!」と言って、ピグレットはカンガのポケットにジャンプして、ラビットは、ルーを手に持って、あわてて一目散に逃げました。

"Why, where's Rabbit?" said Kanga, turning round again. "Are you all right, Roo, dear?"
「まあ、ラビットはどこ?」カンガはもう一度振り返って、言いました。「大丈夫、ルー坊や?」

Piglet made a squeaky Poo-noise from the bottom of Kanga's pocket.
ピグレットはカンガのポケットの中でキーキーとルーの声を出しました。

"Rabbit had to go away," said Pooh. "I think he thought of something he had to go and see about suddenly."
「ラビットは行かなくちゃならなかったみたい。急に確かめなければならないことを思い付いたんだと思う。」プーは言いました。

"And Piglet?"
「ピグレットは?」

"I think Piglet thought of something at the same time. Suddenly."
「ピグレットも同時に何かを思い付いたんだと思う。急に。」

"Well, we must be getting home," said Kanga. "Good-bye, Pooh." And in three large jumps she was gone.
「それじゃあ、私達もこれで、さよなら、プー。」カンガは言って、3回のジャンプでいなくなりました。

Pooh looked after her as she went.
プーは彼女が行くのを見ていました。

"I wish I could jump like that," he thought. "Some can and some can't.That's how it is."
「ボクもあんなふうに飛べたらなあ。できる人もいれば、できない人もいる。そんなもんだ。」彼は思いました。

「そしてついに、カンガは見ようと頭を向けました。」とは?
ルーとピグレットを入れ替えるために、カンガの目をそらそうと一生懸命に試みます。とうとうカンガは根負けして、目をそらしました。

注)think of :思いつく
注)at the same time :同時に 注)I wish I could : ~できたらなあ
注)That's how it is : 物事はそういうものだ

But there were moments when Piglet wished that Kanga couldn't.
しかし、その時、ピグレットはカンガが飛べなかったらなあと思っていました。

Often, when he had had a long walk home through the Forest, he had wished that he were a bird; but now he thought jerkily to himself at the bottom of Kanga's pocket,
よく彼は、森を長く歩いて家に帰るとき、鳥だったらなあと思ったのですが、今はカンガのポケットの中でガクガクしながら思っていました。

  this                    take
"If    is       shall     really      to
      flying  I     never            it''."

「もしこれが飛ぶってことなら、絶対に好きになれないな。」

注)take to : ~が好きになる、くせになる take to ~ には「~に連れて行く」という意味があるので、おそらく、take myself to ~ (~に自分自身の心を連れて行く)という発想でしょう。
ピグレットは飛ぶということに少し憧れていましたが、実際に飛んでみると・・・
ピグレットの気持ちがよく表れています

And as he went up in the air he said, “Ooooooo!” and as he came down he said, “Ow!”
そして彼は、空に上っている時は、「うぅぅぅぅぅ!」っと言って、下に降りると、「おぅ!」と言いました。

And he was saying, “Ooooooo-ow, ooooooo-ow, ooooooo-ow” all the way to Kanga's house.
彼は、カンガの家までずっと「うぅぅぅぅぅーおぅ、うぅぅぅぅぅーおぅ、うぅぅぅぅぅーおぅ」と言っていました。

Of course as soon as Kanga unbuttoned her pocket, she saw what had happened.
もちろん、ポケットのボタンをはずすとすぐにカンガは何が起こったのかすぐに理解しました。

Just for a moment, she thought she was frightened, and then she knew she wasn't;
一瞬、ぎょっとしたものの、そうでもないと思いました。

for she felt quite sure that Christopher Robin could never let any harm happen to Roo.
というのは、クリストファー・ロビンが絶対にルーに危害を加えるのは許さないと確信していたからです。

So she said to herself,
だから彼女は思いました。

“If they are having a joke with me, I will have a joke with them.”
「もし彼らが私を騙しているのなら、私も彼らを騙しましょう。」

“Now then, Roo, dear,” she said, as she took Piglet out of her pocket. “Bed-time.”
「それでは、ルー、寝る時間よ。」彼女はピグレットをポケットから出して言いました。

“Aha!” said Piglet, as well as he could after his Terrifying Journey.
ピグレットは恐ろしい旅の後、できるだけ上手に「あはっ!」と言いました

But it wasn't a very good “Aha!” and Kanga didn't seem to understand what it meant.
しかし、上手な「あはっ!」ではなかったので、カンガは意味を理解しているようには見えませんでした。

「できるだけ上手に「あはっ!」と言いました」とは?
ルーをさらったことがカンガにばれたら、「あはっ!」ということが当初の計画でした。

“Bath first,” said Kanga in a cheerful voice.
「まず、お風呂よ。」カンガは楽しい声で言いました。

“Aha!” said Piglet again, looking round anxiously for the others.
「あはっ!」ピグレットは、心配そうに他の二人を探しながら、もう一度言いました。

But the others weren't there.
でも、誰もいませんでした。

Rabbit was playing with Baby Roo in his own house,
ラビットは自分の家でベイビー・ルーと遊んでいました。

and feeling more fond of him every minute,
そして、徐々に彼が好きになっていました。

and Pooh, who had decided to be a Kanga, was still at the sandy place on the top of the Forest, practising jumps.
プーは、カンガみたいになろうと思って、まだ森の上の砂場でジャンプの練習をしていました。

“I am not at all sure,” said Kanga in a thoughtful voice, “that it wouldn't be a good idea to have a cold bath this evening. Would you like that, Roo, dear?”
「今夜は冷たい風呂に入るのがいいわね。好きでしょ、ルー?」カンガは考えて言いました。

Piglet, who had never been really fond of baths, shuddered a long indignant shudder, and said in as brave a voice as he could:
まったく風呂が好きではなかったピグレットは腹を立てて、震え、出来る限り勇敢に言いました。

注)spleak painly : おそらく speak plainly(はっきりと言う)、 と言おうとしたのだと思います。ピグレットは気が動転していたのでしょう

"Kanga, I see the time has come to spleak painly."
「カンガ、はっきゅりちゅう時がきたみたいだ。」

"Funny little Roo," said Kanga, as she got the bath-water ready.
「おかしな、ルーちゃん。」カンガは風呂の水を準備して、言いました。

"I am not Roo," said Piglet loudly. "I am Piglet!"
「ボクはルーじゃない、ボクはピグレットだ。」ピグレットは大声で言いました。

"Yes, dear, yes," said Kanga soothingly. "And imitating Piglet's voice too! So clever of him," she went on, as she took a large bar of yellow soap out of the cupboard. "What will he be doing next?"
「まあまあ、」カンガはなだめるように言いました。「ピグレットの声も真似ちゃって!頭のいい子、」彼女は棚から黄色い石鹸を取り出して、続けました。「次は何をしてくれるの?」

注)get the bath-water ready :風呂の水を準備する
注)loudly :大声で
注)soothingly : なだめるように
注)imitate :真似る
注)out of the cupboard :棚から

"Can't you see?" shouted Piglet. "Haven't you got eyes? Look at me!"
「分からないの?目は持ってないの?ボクを見てよ。」ピグレットは叫びました。

"I am looking, Roo, dear," said Kanga rather severely. "And you know what I told you yesterday about making faces. If you go on making faces like Piglet's, you will grow up to look like Piglet ー and then think how sorry you will be. Now then, into the bath, and don't let me have to speak to you about it again."
「見てるわよ、ルー。」カンガはかなり厳しく言いました。「私が昨日顔マネのことで言ったこと分かってるわね。もしピグレットの顔マネしてたら、大きくなってピグレットのようになるわよ。ーそうなったらどんなに悲しいか考えてごらん。さあ、お風呂よ。もう二度とそのことで私に話させないで。」

注)severely : 厳しく
注)making faces : 顔真似する
注)grow up to look like :大きくなって~のようになる