Ch.1-2 昔々、今からずっと前、先週の金曜日頃

第1章 プーさんが風船でハチミツを取りに行くお話(2)

前回のお話
プーさんの本当の名前は「ウィニー・ザ・プー」です。ウィニーは女の子の名前なのでお父さんはなぜ男の子にウィニーなのか不思議に思っています。息子のクリストファー・ロビンの説明を聞いて納得したお父さんは、こんな素敵な「プーのお話」を始まました。

 

~ 2 ~

Once upon a time, a very long time ago now, about last Friday, Winnie-the-Pooh lived in a forest all by himself under the name of Sanders.
昔々、今からずっと前、先週の金曜日頃、プーさんはサンダースという名のもとに森に1人で住んでいました。

【原文】Once upon a time, a very long time ago now, about last Friday
昔々 :物語の冒頭につける表現で One upon a time, Long, long ago 等があります。今からずっと前( a very long time ago )と言っておきながら、先週の金曜日頃( about last Friday )とユーモアを交えて、現在の話にしてしまっています。

 

( "What does 'under the name' mean?" asked Christofer Robin.
(「名のもとにってどういう意味?」クリストファー・ロビンが尋ねました。

"It means he had the name over the door in gold letters, and lived under it."
金色の字で玄関の上にサンダースって書いてたんだ。彼はその下に住んでいたんだよ。」

"Winnie-the-Pooh wasn't quite sure," said Christofer Robin.
「プーはそのことをよく分かっていなかったよね。」と、クリストファー・ロビンは言いました。

注)under the name of : ~と名のって

お父さんは、under the name of を文字通り、『~という名前の表札の下に住んでいた』と説明します。

注)not quite : 部分否定で wasn't quite sure で『あまりよくは分かっていなかった』という意味。
自分以外を否定文にする場合、全部否定するのを避けて、やんわりと否定したいときに用います。

"Now I am," said a growly voice.
「ボクも、わかったよ。」と、唸るような声がしました。

"Then I will go on," said I.)
「じゃあ、続けるよ。」と、私。)

注)growly : growl(うなる)の形容詞。プーの声を表現したものです。

One day when he was out walking, he came to an open place in the middle of the forest,
ある日、プーさんが散歩にでかけると、森の真ん中にある広場にやってきました。

and in the middle of this place was a large oak-tree, and, from the top of the tree, there came a loud buzzing-noise.
その広場の真ん中に樫の木があり、木の上から、大きなブーンという音が聞こえてきました。

Winnie-the-Pooh sat down at the foot of the tree, put his head between his paws and began to think. First of all he said to himself:
プーは木のふもとに座って、前足で頭を抱えて、考えました。 最初に思ったのは、

注)大きなブーンという音 : a loud buzzing ( buzzing は蚊や蜂などのブンブンいう音のこと)となっています。

"That buzzing-noise means something. "
「あのブーンには何か意味があるんだ。」

"You don't get a buzzing-noise like that, just buzzing and buzzing, without its meaning something. "
「あんなブンブンいう音、ブーン、ブーンが聞こえるということには必ず何か意味があるんだ。」

注)not と without は2重否定。『~せずには~しない』=『~すれば必ず~する』となり、強い肯定の意味なので、 anything ではなくsomething となっています。

"If there's a buzzing-noise, somebody's making a buzzing-noise, and the only reason for making a buzzing-noise that I know of is because you're a bee. "
「ブーンという音があるのは、誰かがその音を出しているんだ。ボクが知ってる範囲であの音を出す理由は1つミツバチだってことだ。」

注)make a noise : 音を出す
注)the only reason for ~ : ~する唯一の理由
注)know of は「詳しくは知らないけど聞いたことがある」程度の「知っている」という意味

Then he thought another long time, and said:
それからまた、長いこと考えて、言いました。

"And the only reason for being a bee that I know of is making honey. "
「ボクが知ってる範囲でミツバチだってことはハチミツを作るってことだ。」

and then he got up, and said:
それから立ち上がって、言いました。

"And the only reason for making honey is so as I can eat it. "
「ハチミツを作るってことは、ボクが食べれるってことだ。」

注)being a bee も making honey も「動名詞」です。

注)so as ~ can は「~できるように」という意味。so that ~ can と同じ。

それでプーさんは木に登り始めました。

プーさんは
登って、
登って、
登って、
登りながら、
ちょっとした歌を、
歌いましたこんなふうに・・・

【原文】
So he began to climb the tree.

He
climbed
and
he
climbed
and
he
climbed,
and
as
he
climbed
he
sang
a
little
song
to
himself.
It
went
like
this:

(プーが作った歌)

Isn't it funny
おかしくないかい?

How a bear likes honey?
こんなにクマがハチミツを好きだなんて

Buzz! Buzz! Buzz!
ブン、ブン、ブン

I wonder why he does?
どうしてだろう?

(それぞれを踏んでいます)

「韻」とは何ですか?
英詩における「韻」の役割はとても重要です。「韻」のない詩はただの「散文」だと言ってもいいでしょう。英詩において「韻」は行の最後の部分だなされ、なおかつ「詩」の流れが途切れることなく、読み手を心地よくさせてくれます。

Then he climbed a little further . . . and a little further . . . and then just a little further.
それから、彼はもう少し登って・・・ もう少し・・・ それからもう少し・・・

By that time he had thought of another song.
その頃までには、彼はもう1つ歌を思いついていました。

 

(プーが作った歌)の続き

It's a very funny thought that, if Bears were Bees,
とてもおかしな考えだけど、もしクマがミツバチだったら、

They'd build their nests at the bottom of trees.
木のふもとに巣を作るだろう

And that being so (if the Bees were Bears)
もしそうだったら(もしミツバチがクマだったら)

We shouldn't have to climb up all these stairs.
こんな木を登る必要もないのに

 

He was getting rather tired by this time,
この頃までには、プーさんはかなり疲れていました。

so that is why he sang a Complaining Song.
だから『ぐちの歌』を歌ったのです。

He was nearly there now, and if he just stood on that branch . . . Crack!
もう少しで届きます、あの枝の上に立ったら・・・ ポキッ!

"Oh, help!" said Pooh, as he dropped ten feet on the branch below him.
「あれっ、助けて!」10フィート下の落ちながら言いました。

"If only I hadn't ー" he said, as he bounced twenty feet on to the next branch.
木に登っていなければなあー」20フィート下の次の枝に落ちた時に言いました。

"You see, what I meant to do," he explained, as he turned head-over-heels, and crashed on to another thirty feet below, "what I meant to do ー"
「いいかい、ボクがするつもりだったのは・・・」逆さまになって、次の30フィート下にぶつかった時に説明しました。「ボクがしたかったのは・・・」

注)as : ~しながら、~する時
「~する時」と訳す場合も、「その瞬間に」ではなく、ある程度時間を伴った、「~しながら」の要素が入ります。

注)If only I hadn't :~してなかったらなあ

注)bounce :はねる
注)mean to : ~するつもりである。what I meant to do は『私がするつもりであったこと』 what は関係代名詞で『こと』という意味。

注)explain :説明する
注)turn head-over-heels :さかさまになる
注)crash :(大きな音をたてて)ぶつかる

"Of course, it was rather ー" he admitted, as he slithered very quickly through the next six branches.
もちろん、どちらかといえば・・・」彼は、次の6つの枝をズルズルと落ちながら、認めました

"It all comes, I suppose," he decided, as he said good-bye to the last branch, spun round three times, and flew gracefully into a gorse-bush, "it all comes of liking honey so much. Oh, help!"
つまり、こういうこと・・・だと思う。」彼は最後の枝に別れを告げて、3回まわってハリエニシダのヤブの中に優雅に飛び込んだ時、結論を出しました。「ハチミツが大好きだってことさ。助けて!」

注)of course :もちろん
注)admit :認める
注)slither :ずるずる滑る
注)decide :結論をだす
注)spun round three times :3回まわって
注)gracefully :優雅に
注)a gorse-bush :ハリエニシダのヤブ
注)come of : ~することから生じる。 it all comes of liking honey so much は『ハチミツが大好きであることからこういうことになる』の意味。